最近、熊(クマ)被害のニュースが絶えませんね。そこで、今年や過去の被害や駆除について調べてみることにしました。
2025年も日本各地で熊(クマ)による人身被害が発生しています。特に夏から秋にかけては、登山や山菜採りなどの野外活動が増え、例年被害が増える時期です。2025年度(4〜7月速報)では被害48件・55人、死亡3人が公表されています。8月14日には知床・羅臼岳で登山者死亡が判明し、本年の死亡は少なくとも4人となりました。筆者の実感としても、ここ数年は「またクマか」と思うほど報道頻度が増えています。背景には生息域の拡大や誘因物(果樹・生ごみ等)、そして人の生活圏との距離の近さがあると考えます。
今年発生した熊被害ニュース一覧
- 7月|北海道・福島町:新聞配達員の男性(52)がヒグマに襲われ死亡。のちに駆除個体がDNA鑑定で同一と判明。過去の死亡事故との関連も報じられました。
- 8月14日|北海道・羅臼岳:東京在住の男性(26)が登山中に襲撃され、翌日に遺体で発見。現場近くで親子グマ3頭が駆除され、関与の有無が調査されました。
- ほか、岩手・長野などでも死亡・重傷事案が発生。住宅近くや畑周辺など、山奥だけでない点にも注意が必要ですね。
日本の熊被害件数と捕獲数 (過去10年・年度別:2025年は推定含む)
過去10年の人身被害件数は増減を繰り返しつつ、2023年度に198件(過去最多)で突出。2024年度は82件に減少したものの、2025年度は7月末で48件と、秋の増加傾向を踏まえると前年並み〜やや上振れの可能性があります。
一方、許可捕獲数は2019年度以降に高止まりし、2023年度は9,276頭(最多)。2024年度は5,344頭に減少、2025年度は6月末時点で1,535頭です。捕獲が増えるのは被害抑止の側面がある一方、人とクマの距離が近づいていることの裏返しでもあります。
※棒=被害件数(青=実績/橙=2025推定分を積み上げ)/折れ線=捕獲数(各年赤丸、2025区間のみ点線=推定)。
2025*は速報値(被害=7月末、捕獲=6月末)。推定は仮置き値です。
まとめ
2025年8月16日時点、日本では被害者55人(死亡4人)。秋にかけては例年増加期に入ります。短期的には誘因物の除去(柿・栗・生ごみ)、電気柵、藪の刈り払いなど現場対策、長期的には森林整備や生息域モニタリングを通じた「共存設計」が不可欠です。駆除一辺倒ではなく出会わない工夫(登山・農作業時の装備と行動、地域での情報共有)を社会全体で当たり前にしていく必要だと思います。
参照元
- 環境省「クマ類による人身被害の発生状況(速報・年度別集計)」
- 環境省「クマ類の捕獲数(許可捕獲数)について[速報値]」
- FNNプライムオンライン「北海道・羅臼岳でクマ襲撃 登山者死亡」(2025年8月)
- HBCニュース「北海道・福島町 新聞配達員死亡 DNA鑑定で同一個体確認」(2025年7月)
- 各自治体公表資料(岩手県「ツキノワグマ警報」発表など)
※年度は4月〜翌3月。2025年度は速報値(被害は7月末、捕獲は6月末時点)。